現在ではMNPによる過剰な値引きは殆ど無い(はず)です。
こういうのがあった的な感じで読んで貰えると…。
1.MNPとは
自分の電話番号を保持したまま通信会社を変える事になります。
過去に記事になっているので詳細はそちらで
2.MNP値引きのルール
2019年10月に改正された電気通信事業法にて
「回線契約に紐付いた割引は最大22,000円まで」となりました。
しかし店舗による独自の値引き(イメージ的には電気屋さんでの家電の値引きと同じです)は規制されてません。
※この時点で抜け穴が出来てしまっています。
3.実例
家電量販店のスマホ売場・休日のショッピングモールなどで
- iPhone12(64GB)一括1円
- iPhoneSE3(64GB)一括1円
- Google Pixel6a 一括1円
- iPhone13 実質23円
等のPOPを掲げたイベントブースを見た事がある人もいるのでは無いでしょうか?
これらは
「MNPをする事で指定の端末を表示の価格で販売する」という事になります。
例)iPhone12(64GB)の定価
前提としてどこで買っても中身や性能は同じになります。
販売先 | 値段 | MNP価格※1 |
---|---|---|
アップルストア | 94,380円 | なし |
ドコモ | 101,376円 | 79,376円 |
ソフトバンク | 110,880円 | 88,880円 |
au | 103,430円 | 81,430円 |
MNPルール(22,000円引き)に基づいて値引きをしても何でこれが1円に?となるかと思います。
そこで出てくるのが店舗(代理店)による独自の値引きです。
- 特別割引
- ポイント付与→ポイント利用で割引に
- 手持ちのiPhoneを売却して特別割引
一例ですが上記の様な値引きが確認されました。
ほとんどが特別割引になります。
4.一括と実質の違い
一括○円の場合はその場で端末代を支払うのでその後の支払いは無いです。
実質○円の場合は2年間利用後、端末を返却するとその値段になります。
手元に残るか返却するかの違いになります。
例)iPhone14(128GB)実質24円の場合
利用月数 | 支払い額 |
---|---|
初月 | 0円 |
1ヶ月目 | 2円 |
2ヶ月目~ 23ヶ月目 | 1円※1 |
24ヶ月目 | 69,240円※2 |
24ヶ月目~ 47ヶ月目 | 2,885円※3 |
※2 このタイミングで返却するとこの金額は免除
※3 返却しなかった場合はここから24回分割払いになる
iPhone14(128GB)の定価
販売先 | 値段 |
---|---|
アップルストア | 119,800円 |
ドコモ | 138,930円 |
ソフトバンク | 140,400円 |
au | 140,640円 |
楽天 | 131,800円 |
24ヶ月目で返却しないでそのまま払っても約半額で買える計算になります。
どちらもお得ではあるのですが
「一括>実質」 となります。
5.問題点
安く買えるなら何が問題なのか?と思うのが消費者目線だと思います。
普通に考えてMNPするだけでここまで値引きを受けられるならかなりお買い得です。
しかし実際は下記の様な問題が起きました。
- 楽天モバイル・povo等の月額利用料0円で維持が出来る回線からのMNPで1人で何台も購入
- 転売行為
- 端末だけの購入を断られ販売員とトラブル※1
※端末のみの販売を拒否することは禁止になっています - 端末値引きの費用は既存のユーザーから※2
※利用している既存ユーザーへの還元無し
※1 端末のみだとこの場合は22,001円になります。しかしここまでの値引きをして端末だけを売る
メリットは販売店側にはありませんのである意味では拒否は当然ではないかなと思います。
※2 複数回線でMNPを繰り返すユーザーが最大限に恩恵を受ける事になるので既存のユーザーは不満
になるでしょう。(こういったユーザーは短期解約する可能性が高いです)
6.何故こんな事が?
一番の原因は各キャリアが代理店に課せる異常なノルマにあるのでは無いかと思われます。
各キャリアは販売店の制御が出来ないから第三者機関を作って対策をして欲しいと総務省に訴えました。が、そもそも過剰なノルマが無ければここまで無茶な事はやらなかったでしょう。
例)ドコモ
一例なのでドコモを批判する意図はありません。
- 2025年度頃までに約700店舗減らすと報道されています
- 700店舗減らすのに何処を減らすか?
→普通に考えたら売上(成績)が悪い店ですよね? - 無理な値引きで成績を上げる
※その為の費用はドコモからのインセンティブから出ているはずです。 - 生き残る
- 無理な値引きで成績を(以下ループ)
ショップを維持するのにもお金が掛かります。例えば人件費・光熱費・複雑化するスマホ・料金プランによって一人辺りの接客時間の増加・・・など
後は菅政権による携帯キャリアへの値下げ要請も合わさってこうせざる得ない状況になってしまったのでしょう。
政府・携帯キャリア各社・現場・顧客の色々な思惑が複雑に絡み合ってこの様な異常な状況が生まれてしまったとも言えます。
7.対策
SNSや報道機関などで話題になった頃にはかなり自体は下火になって行きました。
(一時は最後っ屁の如く1円が乱立した時もありましたが…)
その中で販売店が取っていた対策の一例が下記になります。
- 同一名義での販売台数制限※1
※180日以内に買った人は対象外…的な所が多かったです。 - MNP前の回線の契約期間の参照
※MNPの為に契約した回線は販売を拒否
※1 他人の名義の利用や名義の偽装は犯罪です。実際に逮捕者が出ていますので
絶対にやってはいけません。
8.こんなトラブルが・・・
本当かどうか不明な点があるのであくまでネタとして捉えてください。
- ソフトバンクの出張販売所にて端末のみ販売して欲しいと言った所
「端末だけの販売は出来ません!」と拒否、しかしその後
「そこに楽天モバイルがあるので契約してからこっちに来てください!」 - MNPしたいんですけど在庫ありますか?
「ありますよ!」(在庫持ってくる)
あっ、やっぱり端末だけで売ってください
「今売り切れました!!」
9.さいごに
今回は過去にこういう事がありましたー的な感じの記事になりました。
この一括1円販売が行われていた時はある意味で異常な状態だったと思います。
MNPを優遇して契約数を増やしたいのは分かりますが、まずは長く使ってくれているユーザーを大事にするべきなのでは無いでしょうか?
今後MNPによる端末値引きの上限は44,000円になる予定です。
※回線契約を伴う場合はそれ以上の値引きは禁止になります。
(まぁ抜け道あるのでどうなるかわかりませんが)
2023年夏に協議するとなっています。
2019年の法改正を見るに秋頃に実施されるのでは無いのかな?と私は考えています。
適切な還元と適切な料金になることを願いつつ今回はここまでとさせていただきます。
コメント